♯032 「忸怩」

  • 2017.06.16 Friday
  • 11:32

 

入る穴、ふたつでは足りなさそう。

 



♯032 「忸怩」

ことの不正を知っていたのに、正さず、責任逃れしてしまった。
その訳を追及されたら、どう応えましょうか?
「どうにもちから不足で……」「事情が事情だったものですから……」「寄らば大樹の陰という先人の教えもありまして……」
この程度の屁理屈では、さらなる非難をあびそうです。
そんな折、ぴったりのお手本があります。

「誤りを正せなかった、わたくし、忸怩(じくじ)たる思いがあります」
文科省の前事務次官の言葉です。
忸怩。『広辞苑』には、恥じ入るさま。『新明解国語辞典』は、恥じて顔が赤くなる意、という次第で、忸も、怩も、その意味は“恥じる”ですから、恥じの2乗ですね。
となると、「わたくし、恥ずかしくて恥ずかしくて、ほら、顔が赤くなっていますよね」という釈明になります。
「あら、責任果たせなくって、わたし、恥ずかしいわ。穴があったら入りたい」なんて言うものなら、相手にあなどられてしまいますよ、あなた。
ここで「忸怩」を用いれば、あながち恥ずかしい思いをしなくても、その場はしのげるという塩梅です。

地位に「恋々」としていた、という言い方と、
地位に未練がましくしがみついていた、と言いのでは、
同じことを言うにも、「忸怩」と同様に、ちょいと賢そうな言葉を繰り出せば、
よしんば、そこに穴があっても入らなくても済む。

さておき、根本は、不正を正さなかった人より、不正を働いた方が「忸怩」たる思いをしなければならないはずでしょ。
そういう人たちこそ穴に入って、そのまま出て来ないでほしいわけで。
昨今、穴はふたつで足りそうもないことは明々白々。
いくつ掘っておけばいいのでしょうかね。


 

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